2019年9月20日
COPD (慢性閉塞性肺疾患:肺気腫、慢性気管支炎)が怖いのは、息切れが次第に強くなり、行動範囲が狭くなり、入退院をくり返し、やがて寝たきりに近い生活になることです。
Q. COPDが進行するとどうなるか
COPDは、肺胞が広い範囲で壊れてしまう肺気腫型と気道の炎症が進む気道型、両者の混合型に分類されます。肺気腫型では、特に下肢の筋力が低下しやすいことが知られています。その結果、外出が難しくなり、やがて自分のベッドから出られなくなります。しかも頻回に増悪を起こし、その治療が遅れると入院となる回数が多くなります。長期の治療では筋力をいかに保つかが問題です。
Q. COPDで起こる筋肉の変化とは
筋力の低下は、慢性の呼吸器疾患に共通していますが、特に重症のCOPD患者では深刻です。筋力の低下は、その強さが低下すること、持久力が低下することに分けられます。前者は例えば、重量挙げのような場合に相当し、瞬間的に重いものを持つような運動です。これに対し、後者は、疲れて長い距離が歩けなくなった、という場合が相当します。どちらも次第に日常生活を不自由にしてしまいます。
四肢の筋肉は、筋線維の束からできており、化学的、生理的な作用からI型、II型に分類され、II型はさらに3種類に分けられ、それぞれの働きで筋力、持久力が決まっています。COPDではその組成が変化することが問題であり、特に下肢と呼吸に大切な横隔膜の筋線維の組成が変化することが問題です。
Q. 筋力の低下はなぜ起こるか
COPDで筋力が低下する理由として以下が考えられています。
1.呼吸が苦しいという理由であまり動かなくなってきた。
2.低栄養に傾いている。
3.喫煙の影響。禁煙後も残ると云われます。
4.呼吸器感染症にかかりやすく、COPDが一時的に悪化する増悪をくり返している。その結果、筋力の低下がおこりやすくなる。
5.血液中の酸素不足がある。
6.血液中の二酸化炭素が上昇している。
7.治療で頻回に使用されるステロイド薬の副作用。
COPDは高齢者に多い病気です。次第に痩せ、動けなくなり、入退院を繰りかえすようになります。できるだけ早いうちに診断し、適切な治療を開始し、長期的な治療方針を決めておくべきです。特に下肢の筋力をできるだけ高めておくことの大切さをこの論文は指摘しています。
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