No.354 酸素不足状態で認知症の悪化が起こるか?
2026年4月17日 近代の集中治療医学は、1952年、デンマークのコペンハーゲンでのポリオ流行にまで遡ることができると言われます。集中治療室は ICU と呼ばれ、最重症者に対する救急救命治療の重要な場所で、多くの医療者が24時間体制の高度の緊張状態の中で働いています。 ICUでは、一方では治療に伴う苦しみと死があり、他方では、重篤な病気の後の生存と回復後の生活の再開が目標です。医学の進歩にもかかわらず、ICUで最も一般的に使われる治療法の一つである酸素治療に関しても、効果的な治療に関して根本的な疑問が残っています。動脈血中の酸素が不足した状態は、呼吸不全と呼ばれますが、どれだけの酸素をどのような方法で供給すべきかの議論は続いています。生命の維持に必須の酸素ですが治療目的で使われる酸素は、薬と同じ位置づけであり、過少なら治療効果を示さず、過剰ならば有害です。ここで紹介する論文は、ICU発祥の地からの発信であることも興味ある点です。 さらに問題となる点は、こうして救命しえた患者さんが認知症に近い状態になることが経験的に知られています。酸素療法
No.353 慢性副鼻腔炎が合併する重症喘息の治療
2026年4月10日 20年以上前に最初の抗免疫グロブリンE製剤が承認されて以来、重症喘息に対する「モノクローナル抗体療法」は、 喘息治療を大きく進歩させました 。新しい治療法は、多くの重症喘息の患者さんにとって人生を変える治療法として認識されている、とまで評価されています。近年になり、インターロイキン(IL)‑4Rα、IL‑5、IL‑5Rα、胸腺間質リンパ球増殖因子(TSLP)などの経路を標的とするモノクローナル抗体を利用した治療薬が開発され、治療はさらに洗練され、増悪リスク、経口コルチコステロイド使用量、肺機能などの主要な治療効果において大きな臨床的効果をもたらしています。 ここで取り上げる論文[1]は、 慢性副鼻腔炎と喘息との関係 を、粘膜における免疫性の異常という観点から研究した論文です。動物実験では、回答が得られにくいテーマであり、多くの患者さんたちの協力を得て気管支鏡検査を行い、生検を行って得られた検体から得られた研究結果であることも踏まえて学びたいと思います。 論文[1]では、慢性副鼻腔炎と喘息が近縁の関係にあ
No.352 問題点が大きい睡眠時無呼吸症候群とCOPDの重複
2026年3月30日 一つの病気の経過中に他の病気が重なってくる状態は 合併症 と呼ばれています。一般に慢性に経過する病気で怖いのは、連鎖となり、それぞれが悪化していき、治療によっても乗り越えられないことが多くなることが問題です。加えて加齢変化、それに伴う臓器の機能低下、という避けられない要素が加わっていきます。 合併症が多くなれば、投薬の種類が多くなることも避けられない問題点です。薬どうしの相互関係に関するデータは十分でなく、3種類以上の服薬では相互作用が読み切れない、というデータもあります。しかし、多くの慢性疾患は継続治療が必要であり、現在と将来の危険度を見据えて処方内容を考えていく工夫が必要となります。 息切れや咳、痰の症状からCOPDは気管支喘息と並び比較され、また両者が共存している患者さんを多く診てきました。COPDは気管支喘息とは異なり、多臓器にわたる病変の共存が特徴の一つです。COPDでは、合併症とは呼ばず、 併存症 と呼ばれる理由がここにあります。COPDの治療対策、考え方で参考にすべき点です。COPDの併存症の考え方が
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