No.362 痩せ型と肥満型COPD:体型で異なる問題点
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は邦訳では慢性閉塞性肺疾患。肺気腫と慢性気管支炎の病名を一つに表現した簡略病名であり、英語読みの頭文字を取って略語とした正式病名です。すでに半世紀以上が経過していますが同じような慢性疾患として定着している糖尿病と比較すると分かりにくい病名といえそうです。その糖尿病も、尿の中に糖が出てくる病気であると、単純化できないくらい精緻な病態が明らかになってきており、適切な病名のあり方が議論されていると言われます。双方ともいまや、人口に膾炙する便利な病名ですが、科学情報の進歩に合わせた変更、修正作業は容易ではないようです。さらに単純化された病名と検査により次第に明らかにされてきた複雑な病態の乖離は、病気自体を患者さんに分かり易く説明するのは、難しく、診療時間がかかるのは避けられません。 COPDは、体型から2つに分けられることが古くから知られています。痩せ型が肺気腫型であり、太った人では慢性気管支炎型が多いと言われます。両者を鑑別するには階段歩行時のうしろ姿の観察が分
No.361 間質性肺炎を悪化させる要因、逆流性食道炎
2026年6月23日 肺という臓器は、外から触ると、病変がない健康な状態では押せばへこむがすぐに元に戻る弾力性に富んだ臓器です。また、肺は綿菓子のようだ、と表現されることがありますが綿菓子と違うのは元に戻ろうとする弾力性があるからです。 病気が起こると弾力性が変化します。簡単にいえば、膨らみ過ぎが肺気腫や高齢者の肺であり、逆に、縮こまりやすく、膨らみにくくなるのが間質性肺炎です。肺気腫も間質性肺炎も繊細な肺胞の立体構造が破壊される病気です。肺気腫では肺胞は薄くなり、壊れ、やぶれた状態が多くなりますが、間質性肺炎では、厚くなり、伸びが悪くなります。いずれの状態も酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するという肺の働きを大きく低下させます。呼吸をするためにエネルギーを過剰に使うことになり体力を消耗し、呼吸は苦しくなり、活動度も低下させます。 間質性肺炎では肺胞の壁に線維成分(コラーゲン、エラスチン、多糖体など)が無秩序な状態で溜まるのが問題です。「びまん性肺疾患」と呼ばれることもあります。弥漫(びまん)あるいは瀰漫(びまん)という意味は「一面に広がる
No.360 肺の老化とは何か
2026年6月16日 老化の予防、改善する薬や若返りの方法が、世の中に溢れています。欧米の医学雑誌にも新しい科学情報がたくさん見られます。Ageingという、言葉がキーワードの一つです。 Ageingという言葉は、手もとの辞書(リーダーズ英和辞典)では「年をとること、加齢、老化、経年変化、時間効果」とあります。老化研究の先進国、英国の辞書(オックスフォード現代英英辞典)では、Ageingを「the process of growing old」と表現し、変化の過程を重視しているようです。こちらの方が本来の意味を反映しています。 Ageingは多くの動植物に共通ともいえる生命現象であり、病気の発症と関係し、病気になり易くする、すなわち「感受性の増加に伴う進行的かつ広く予測可能な変化を特徴とする」ことです。老化は均質なプロセスではありません。同じ人でも臓器どうしが異なる割合で老化し、遺伝的構成、生活習慣、環境曝露など複数の要因に影響されます。例えば、細胞の変異は加齢とともに幹細胞内に蓄積しますが、臓器によって異なります。エピジェネティックなデオキ
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