No.357 ハンタウィルス感染症のニュース
2026年5月25日 2026年4月27日、大西洋を航行中だったオランダ船籍のクルーズ船・MVホンディウス号で、「ハンタウイルス」のアウトブレイク(集団感染)が発生した、とのニュースが報じられました。新聞では各紙ベタ記事扱いでしたが私には驚きでした。近年、海外からの渡航者は急激に増えてきており、短い潜伏期間中に感染者のすり抜け入国はありうることです。 新型コロナウィルス感染症の流行初期に出された警告で、ふだんは雑踏の銀座界隈でもほとんど人影がない時期を見知っています。まさしく戒厳令が出された街の光景を想像させるものでした。クルーズ船での感染症アウトブレイク、高い致死率、そしてヒトからヒトへの感染。こうした経過が、忘れかけていたコロナ禍の悪夢を思い起こさせます。 「ハンタウイルス」の流行について、その後の報道は限られていますが近刊のNew Eng J Medicineは短い記事ながら当時の状況を伝えています[1]。その概要は以下のような内容です。また、その感染対策の文献を紹介します[2-4]。 Q. ハンタウィルス感染症の最近の流行事案とは?.
No.356 COPD、成人喘息は肺の成長期の異常に関連する
2026年5月14日 新しい治療薬がでるたびに、従来の薬とどこが違うのか、という議論と、病気がいつから始まるのか、悪化させないためには、いつから治療を開始するのがよいのか、治療では何を注意して過ごせばよいのか、が問題にされてきました。病気がいつから始まるかは、早期診断、早期治療に関する重要な情報です。経過をなるべく快適にし、しかも予想されるような危険を避けていく、という観点からも大切なポイントです。 近年の研究成果から、COPDと成人喘息の症例の約6割は、幼少期の出来事に関連した肺の発達障害が原因の一部となっていると言われています。COPDは中高年から始まり、喘息は乳幼児期から始まる、という学説は現在では見直され、両者ともに幼少時、おそらく胎児期から始まると考えられるようになりました。感染症とは異なり、特定のヒトだけが発症する理由は、遺伝的な背景があるからです。 慢性の病気で怖いのは、長い経過のうちに他の病気を呼び込む可能性が高いことです。COPDでは、急に症状が悪化し重症となる肺炎や心血管病変、すなわち心筋梗塞や脳血管障害が問題であり、さ
No.355 妊娠中の喘息悪化とステロイド吸入薬使用の問題点
2026年5月1日 2026年5月5日は、World Asthma Day (国際喘息記念日)です。COPDに関する世界イニシアチブ(GOLD)と並び、喘息に関する世界イニシアチブ(GINA)[1]は、過去25年間、毎年、これら2つの最も一般的な呼吸器疾患の診断と管理に関する戦略レポートと推奨事項を作成してきました。 喘息は既存の慢性疾患の中では妊娠中に最もよく見られ、全妊娠の3~8%にみられると言われています。しかも、症状は、妊娠の全期間中を含め、さまざまな形で現れます。妊娠中の喘息に対する薬理療法の原則は、非妊娠患者の場合と類似しています。妊娠中または妊娠を予想している人に喘息薬を使用することを検討する際、喘息薬のリスクはあるけれども治療されていない場合の喘息における潜在的な危険性の方が上回る、というのが判断の原則です。 妊娠中の喘息の管理には、2つの大きな目的があります。1つは、妊婦が危険な状況に置かれることなく無事、出産に至ること、2つ目は、生まれる子どものリスクを回避する、ことです。後者は、特に妊婦が心配する点でもあります。課題は
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