No.355 妊娠中の喘息悪化とステロイド吸入薬使用の問題点
2026年5月1日 2026年5月5日は、World Asthma Day (国際喘息記念日)です。COPDに関する世界イニシアチブ(GOLD)と並び、喘息に関する世界イニシアチブ(GINA)[1]は、過去25年間、毎年、これら2つの最も一般的な呼吸器疾患の診断と管理に関する戦略レポートと推奨事項を作成してきました。 喘息は既存の慢性疾患の中では妊娠中に最もよく見られ、全妊娠の3~8%にみられると言われています。しかも、症状は、妊娠の全期間中を含め、さまざまな形で現れます。妊娠中の喘息に対する薬理療法の原則は、非妊娠患者の場合と類似しています。妊娠中または妊娠を予想している人に喘息薬を使用することを検討する際、喘息薬のリスクはあるけれども治療されていない場合の喘息における潜在的な危険性の方が上回る、というのが判断の原則です。 妊娠中の喘息の管理には、2つの大きな目的があります。1つは、妊婦が危険な状況に置かれることなく無事、出産に至ること、2つ目は、生まれる子どものリスクを回避する、ことです。後者は、特に妊婦が心配する点でもあります。課題は
No.354 酸素不足状態で認知症の悪化が起こるか?
2026年4月17日 近代の集中治療医学は、1952年、デンマークのコペンハーゲンでのポリオ流行にまで遡ることができると言われます。集中治療室は ICU と呼ばれ、最重症者に対する救急救命治療の重要な場所で、多くの医療者が24時間体制の高度の緊張状態の中で働いています。 ICUでは、一方では治療に伴う苦しみと死があり、他方では、重篤な病気の後の生存と回復後の生活の再開が目標です。医学の進歩にもかかわらず、ICUで最も一般的に使われる治療法の一つである酸素治療に関しても、効果的な治療に関して根本的な疑問が残っています。動脈血中の酸素が不足した状態は、呼吸不全と呼ばれますが、どれだけの酸素をどのような方法で供給すべきかの議論は続いています。生命の維持に必須の酸素ですが治療目的で使われる酸素は、薬と同じ位置づけであり、過少なら治療効果を示さず、過剰ならば有害です。ここで紹介する論文は、ICU発祥の地からの発信であることも興味ある点です。 さらに問題となる点は、こうして救命しえた患者さんが認知症に近い状態になることが経験的に知られています。酸素療法
No.353 慢性副鼻腔炎が合併する重症喘息の治療
2026年4月10日 20年以上前に最初の抗免疫グロブリンE製剤が承認されて以来、重症喘息に対する「モノクローナル抗体療法」は、 喘息治療を大きく進歩させました 。新しい治療法は、多くの重症喘息の患者さんにとって人生を変える治療法として認識されている、とまで評価されています。近年になり、インターロイキン(IL)‑4Rα、IL‑5、IL‑5Rα、胸腺間質リンパ球増殖因子(TSLP)などの経路を標的とするモノクローナル抗体を利用した治療薬が開発され、治療はさらに洗練され、増悪リスク、経口コルチコステロイド使用量、肺機能などの主要な治療効果において大きな臨床的効果をもたらしています。 ここで取り上げる論文[1]は、 慢性副鼻腔炎と喘息との関係 を、粘膜における免疫性の異常という観点から研究した論文です。動物実験では、回答が得られにくいテーマであり、多くの患者さんたちの協力を得て気管支鏡検査を行い、生検を行って得られた検体から得られた研究結果であることも踏まえて学びたいと思います。 論文[1]では、慢性副鼻腔炎と喘息が近縁の関係にあ
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