No.359 腸内の細菌叢が間質性肺炎の悪化に影響する
2026年6月12日 あらためて言うまでもなく、身体の構造は全臓器がそれぞれにつながりを持ち働いています。つながりの仕方には強弱はあります。つながりを表現する「臓器相関機能」という便利な言葉があります。例えば、COPDには胃潰瘍が多いことは古くから知られています。喫煙習慣は両者を悪化させますが二臓器の相互に関連して病気が発症します。心臓と肺の関係では、心臓の機能が低下し、心不全になると肺はうっ血状態となり、呼吸が苦しくなり、痰が増えます。他方、重い肺炎では、同様に呼吸が苦しくなり、痰が増えますが、軽度であった心不全を一気に悪化させることがあることはしばしば経験します。遡って、連鎖を断ち切り、適切に治療し、予防するには、「臓器相関機能」を知っておく必要があります。特に高齢者の治療では臓器相関機能を重視した治療方針が大切です。 病気が起こる機序は臓器別には、研究が進んできましたが、臓器相関機能の解明という点ではうまく説明がつかない身体現象は多くみられます。AIは期待される手段ですが、複雑な機器を開発、導入しても一人の人間の生命維持の不思議さを
No.358 重症喘息を難治化させる多病状態とは何か?
2026年6月4日 喘息は、幼少時から高齢期まで広い年齢にみられ、頻度の高い慢性の呼吸器疾患の一つとして知られています。性差があり、男性ではCOPDが多いのに対し、喘息は、女性に頻度が高いという特徴があります。幼少時からずっと、喘息と共に暮らしてきたという方や中高年で発症したという喘息の患者さんもいますが90歳過ぎに、初めて重い発作を認めたという方がいました。喘息は、どの年齢でも新たに発症しうることが知られています。 高齢者の喘息の治療が特に難しい、と感ずるのは喘息以外の病気が重なることが多くなるからです。例えば、高血圧、心不全で喘息治療中の人をしばしば診ますが、心不全の悪化による症状もゼイゼイし、痰が多くなることが共通していますので判断が難しくなります。治療は、つねに両者に目配りしたものでなくてはなりません。 慢性の病気が重なる状態は、多重併病ともいわれ治療を難しくする状態として知られています。高齢者の治療ではつねにありうることです。以前、NHKラジオの番組で視聴者からの相談というコーナーを担当していたことがありました。70歳代の女性で
No.357 ハンタウィルス感染症のニュース
2026年5月25日 2026年4月27日、大西洋を航行中だったオランダ船籍のクルーズ船・MVホンディウス号で、「ハンタウイルス」のアウトブレイク(集団感染)が発生した、とのニュースが報じられました。新聞では各紙ベタ記事扱いでしたが私には驚きでした。近年、海外からの渡航者は急激に増えてきており、短い潜伏期間中に感染者のすり抜け入国はありうることです。 新型コロナウィルス感染症の流行初期に出された警告で、ふだんは雑踏の銀座界隈でもほとんど人影がない時期を見知っています。まさしく戒厳令が出された街の光景を想像させるものでした。クルーズ船での感染症アウトブレイク、高い致死率、そしてヒトからヒトへの感染。こうした経過が、忘れかけていたコロナ禍の悪夢を思い起こさせます。 「ハンタウイルス」の流行について、その後の報道は限られていますが近刊のNew Eng J Medicineは短い記事ながら当時の状況を伝えています[1]。その概要は以下のような内容です。また、その感染対策の文献を紹介します[2-4]。 Q. ハンタウィルス感染症の最近の流行事案とは?.
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