No.373 治療を難しくする複数の病気が共存する場合の喘息治療
2026年10月14日 高齢者を含む、成人の喘息患者では、呼吸器以外にも、少なくとも1つの非呼吸器併存疾患とよばれる合併症があることが一般的です。例えば、高血圧や糖尿病、コレステロールが高い脂質異常症の治療と喘息の治療を同時に行う必要がある場合などです。 いくつかの病気が重なり、治療を受ける医療機関が多くなれば、薬の重複、あるいは他院での投薬が喘息を悪化させるようなことが起こる可能性があります。むかし、数人の患者さんで経験したことがありますが、緑内障で使われる点眼薬の一つ、βブロッカー薬が喘息や、COPDの息切れを悪化させることが疑われたため眼科医と連絡をとり、薬を変更していただき、症状が劇的に改善したことを経験しています。一人ひとりの患者さんが持っている、お薬手帳は患者さん、薬剤師、担当医をつなぐための大切な情報源となります。 喘息の治療が、担当する医療者による意見の相違を防ぐため、グローバル・イニシアティブ、GINA(ジーナ)という国際組織があり、新しい医療情報に基づき推奨される喘息のコントロール、喘息悪化や副作用のリスク要因の評価や標準
No.372 不眠を訴える高齢者の認知症と睡眠障害の関係
2026年10月11日 高齢の患者さんの中には、寝つきが悪い、夜中に頻回に目が醒めるので熟睡ができない、昼間は眠い、と訴える人がかなりの割合でいます。第一線で働く多忙な時期が過ぎ、退職後には、のんびりした生活になり、いつでも昼寝ができる気楽な環境にあるにも拘らず、不眠の苦しみを訴える方が多くなります。 夜間、熟睡できず、頻回の寝覚めは、昼間のすっきりした生活を妨げる原因となり、これがつらいと訴えるのです。その結果、「不眠」という訴えになるようです。 さらに90歳代と70歳代を比べると、むしろより若い世代の方に多い印象があります。多くの90歳代の人では、重症の睡眠障害もなく、また最近、問題にされているように睡眠中に繰り返し起こる低酸素血症が、癌や心臓、脳の血管病変などの誘因となることがなく、これらに伴うリスクを潜り抜けてきた方が多いせいでしょうか。 草木も眠る、と表現されているように生物に共通する睡眠。新しい議論が進む中での「睡眠の質」とは何か?長い間の生活習慣に関わる、個人的な訴えですが、睡眠科学が進歩してきた現代では、客観的な指標も発
No.371 肺の老化とは何か
2026年9月28日 9月21日、敬老の日。この日、毎年、恒例のように発表される統計があります。 「65歳以上の高齢者数は、3,624万人で前年より2万人増えた。総人口に占める割合は29.6%であり、統計データがある1950年以降では最高を更新した。高齢化率は1950年以降、一貫して上昇している」。「日本の高齢化率は、人口が4千万人以上の世界39か国の中で最も高かった」(朝日新聞、2026年9月21日)。 「2022年のデータでは、男性の平均寿命は、81.05歳、女性は87.09歳となっている。これに対し支障なく日常生活を送れる健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳で大きな差がある」(読売新聞、2026年9月21日)。 さらに死亡原因の報告では、1位―悪性腫瘍、2位―心疾患、3位―老衰、4位―脳血管障害、5位―肺炎。他方、WHOが発表(2025年)している世界の死亡原因の統計では、1位―虚血性心疾患、2位―脳卒中、3位―COPD、4位―下気道感染症、肺炎、5位-肺がん、となっています。WHO統計では5位までの死亡原因に呼吸器疾患が
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